実のところ独裁者になるということは、降りられないランニングマシンの上で走り続けるようなものなのだ。彼らはその立場上、「穏やかに辞任する」という出口戦略を持ちえず、常に脅威にさらされている。
独裁者は自らを支える側近たちを飼い慣らさなければならない。そして、彼らの非道な行動の背後には、裏切りや暗殺、叛乱への恐怖がある。
日本語版が2026年1月に刊行された、政権のパワーゲームという視点で独裁制を読み解く『独裁者の倒し方:暴君たちの実は危うい権力構造』について、ジャーナリストの佐々木俊尚氏に話を聞いた。前編に引き続いてお届けする
独裁制が成り立つ背景事情
中国は儒教の国です。官僚がきちんと国を治めて民を豊かにしてくれるのであれば、多少の私腹を肥やすぐらいは許そうという伝統があります。さらに遡れば堯舜(ぎょうしゅん)の時代があり、民主主義でなくても、より良き君主がきちんと民を治めていればよいという思想があります。
ただ、独裁制でも「より良き」とは限らないのが問題です。プーチンも、エリツィンから政権を引き継いだ当初は、ものすごい名君だと言われていました。その背景には、エネルギー事情がありました。
21世紀に入る頃から、石油や天然ガスの価格が上昇して、ロシアのエネルギー事情が非常に良くなり、国全体が豊かになって貧困が減ったのです。ロシア国民にはその記憶があるので「社会主義が崩壊して、ソ連がなくなった後を立て直してくれたのがプーチンだ」という発想が根強かったわけです。





















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