イラン、アフガン、そしてベネズエラは……暴力による「独裁者の排除」がうまくいかない訳

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本書を読んで思ったのは、結局、独裁者は誰も信用できなくて恐怖に駆られているということですね。プーチンも、とても強そうに見えて、内心では「ウクライナに勝てなかったらどうしよう」「俺はアメリカの特殊部隊に暗殺されるかも」と怯えているかもしれません。独裁者って、本当に孤独で大変でしょうね。

スターリンなんかも、誰一人信用できないために、次々と側近を入れ替えては前任者を粛清していった。それだけソ連は政治システムがしっかりしていたとも言えます。仮にプーチンが暗殺されたとしても、それで国家が崩壊することはなく、今の政治システムをうまく乗っ取る形で次の人が出てきて、独裁政権を維持するでしょう。

時代の引力が独裁者を生み出す

独裁政権と言えば、強権で人を縛っているように見えますが、一筋縄ではいきません。イランでは、街頭デモで数千人規模の死者が出ていると報道されています。そう聞くと、イスラム指導者がひどい強権で国民を弾圧しているように思いますが、そもそも1979年のイスラム革命は、弾圧によって始まったわけではありません。

革命以前、パーレビ国王の時代は、一部の人はとても豊かで、テヘランでは女性がミニスカートで歩くなど楽しい生活を送っていました。しかし、地方の農村はすごく貧しかった。その格差に対する怒りが爆発して、イスラム革命につながったと言われています。つまり、イスラム革命そのものは「悪」ではなかったのです。

ただ、それによって強権的に自由が抑圧されて、また反発が生まれる。独裁政権はそのようなリズムの一段階だと言えるでしょう。

もしヒトラーがいなくても、ドイツには似たような独裁政権が出てきたのは間違いないだろうとも言われます。独裁者一人の能力だけでなく、その時代の歴史の引力から独裁政権が生まれたり、壊れたりしていくということですね。

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