
当時版元がひしめいていた日本橋(写真:yama1221/PIXTA)
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を中心にして江戸時代中期に活躍した人物や、蔦重が手がけた出版物にスポットライトがあたっている。連載「江戸のプロデューサー蔦屋重三郎と町人文化の担い手たち」の第26回は、江戸の出版業界における最大手の書物問屋「須原屋」を築いた須原屋茂兵衛(すはらや・もへえ)や、茂兵衛からのれん分けされた市兵衛(いちべえ)について解説する。
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里見浩太朗演じる「須原屋市兵衛」とは
「べらぼう」でいよいよ吉原を飛び出して日本橋へと進出した「耕書堂」の蔦屋重三郎。何かと蔦重を「吉原者」(よしわらもの)と見下して、目の敵にしてきた版元の鶴屋喜右衛門や西村屋与八らとは、ますます対立を深めることになりそうだ。鶴屋喜右衛門の「仙鶴堂」は通油町、西村屋与八の「永寿堂」も馬喰町と、ともに日本橋に位置している。
一方で、蔦重とより仲を深めそうなのが、書物問屋の須原屋市兵衛である。
江戸時代の本屋には、学術や宗教など専門書を扱う「書物問屋」と、草双紙、黄表紙、浮世絵などエンタメ色の強い出版物を扱う「地本問屋」(じほんどいや)の2種類があった。
いずれも本を発行して販売するという点では同じだが、扱う本がまったく違う。そのため、「べらぼう」では両者をライバル関係として描いていない。里見浩太朗演じる須原屋市兵衛が、若き蔦重を何かとサポートし、耕書堂の飛躍に一役買っている。
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