「魚肉ソーセージ50円」「刺身200円台」「ランチ500円」激安で人気だった≪さくら水産≫が“残すところ11店舗”まで衰退した納得の理由

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全メニュー共通して、副菜の卵や海苔は無くなり、味噌汁やおしんこのお代わりも撤廃されている。ご飯は大盛りに変更できるが、お代わりは100円、味噌汁も2杯目以降は別途70円かかるようだ。100円以下だったサイドメニューの冷奴や納豆も姿を消していた。

世知辛さを感じるものの、久々の来訪とあり、奮発して魚河岸お刺身5点盛り定食を頼む。当時から3倍近い価格レンジだが、豊洲で当日朝に買い付けた旬の鮮魚を、店内で加工調理しているそうだ。

来訪日の5種盛りは「マグロ・カツオ・アイナメ・タイ・サーモン叩き」のラインナップで、分厚くカットされた切り身は満足感がある。特に血の気が多いカツオは、時間が経つと臭みが出がちだが、口に運んでも生臭さは感じない。味噌汁にはタイのアラが入っており、思わずお代わりしたくなる……。

1480円の「魚河岸お刺身5点盛り定食」(筆者撮影)
1480円の「魚河岸お刺身5点盛り定食」のカツオ(筆者撮影)

結局、追加注文は見送り、会計は税込1480円。今のご時世べらぼうに高いわけではないが、どうしてもかつての良心的な価格が脳裏をよぎる。さくら水産を運営するテラケン代表取締役の野田安秀氏も、「破格なブランドイメージが強烈だったゆえに、高付加価値を押し出す路線にシフトしても客足がついて来なかった」と、大量閉店の要因を振り返る。

赤字覚悟だった500円ランチ

さくら水産の代名詞だった500円ランチ、実は物価高が顕著になる以前から、採算度外視の収益構造だった。20年近く籍を置く営業部社員に聞けば「ランチ営業を始めた2000年代前半から、原価率は約50%に設定し、人件費は30%以上、販管費などを差し引くと純利益は10%前後しか残らなかった。コロナ禍以降は赤字となり、2021年完全に撤廃した」と明かす。

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