物価高なのに「制服サブスク」はなぜ広がらない? 事業者「ビジネスモデルとして成り立たない」

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ぎゃくし
レンタル制服がずらりと並ぶ、ぎゃくしの店内(写真は「ぎゃくし」Webサイトから)

制服サブスクは十勝ならではのビジネス?

サブスクの利用者は順調に増えており、保護者・子ども・企業の“三方よし”なサービスに見えるが、不思議なことに、まねをして参入してくる同業他社はほとんどいない。

瘧師さんは、「制服サブスクは十勝地域ならではの顧客ニーズから生まれたビジネスなので、全国には広がらないでしょう」と話す。どういうことか。

「レンタルに適した商品には三つの条件があります。必ず必要なもの、はやりに左右されないもの、そしてピンポイントで利用するもの、です。

十勝は冬場だと氷点下20度近くになるため、中学校はジャージ通学が一般的です。制服を着る機会は入学式や、終業式、修学旅行など、イベントの時だけ。

年に10回程度しか着ないのに、買い替えが必要な新品を買うのは経済的負担が大きいという切実なニーズがあるのです」

ピンポイント利用という条件は、企業側にとっても重要だ。制服を毎日着られてしまうと、商品の摩耗が激しく、とても割に合わない。

また、サブスクを始めるには頻繁なサイズ交換依頼に耐えられる十分な商品在庫が必要で、同社は中学校を卒業した子どもがいる家庭から、“宝の持ち腐れ”状態のきれいな制服を安く買い取ることで在庫を確保している。

もし新品を買い集めるとなると、多額の初期投資は免れない。

「制服サブスクは顧客の満足度は高いですが、『普段制服を着ない』という特殊な条件がない限り、ビジネスモデルとしては成立しないでしょう」

一方、子育て世帯の家計を守るため、採算度外視で奮闘する企業もある。

全国に約80店舗を展開する学生服リユースショップ「さくらや」は、幼稚園から高校までの制服の買い取り・販売を行っている。

定価2万5000円の男子高校生用ブレザーが1500円~6000円ほどで売られているというから、驚きの安さだ。

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