森永卓郎「貯金は生活費の3年分あれば十分」の真意 最期まで説いた"お金に縛られない人生"の価値

ケチ、セコい、しぶちん。私はずっとそう呼ばれてきた。
息子からは、「ポイントが貯まったり、割引券が使えるファミレス以外、連れて行ってもらったことがない」と言われ、周囲からは、「たくさん稼いでいるんだから、もっとカネを使ったらどうだ」と言われ続けている。
お金に縛られない人生を送るために必要なものとは?
私が「節約」を始めたきっかけは、必要に迫られたからだ。
1985年、私は当時勤務していた経済企画庁で夜中に経済モデル(経済の将来を予測するための数式、方程式)をいじっていた。すると、「株価と地価が暴騰する」というシミュレーションの結果が出てきたのだ。
それを見た私は、「バブルが来るぞ」と庁内を吹いて回ったが、まだ「バブル」という言葉さえ浸透していない時代だ。誰も私の言葉を信じてくれなかった。
頭にきた私は、「だったら自分で家を買って証明してやる」と宣言し、東京近郊の埼玉県所沢市に、2680万円で中古の一戸建て住宅を購入した。
当時の私は年収300万円。住宅ローンの金利は7%で、ローンを控除後の月額の手取りは6万円台に転落してしまう。
しかも、ちょうど長男の康平が生まれたばかりで、妻の母乳が十分でなかったこともあり、康平に与える粉ミルクを買うことが、家計における最優先の課題となった。
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