運のいい人が幸運をつかむ前にやっていること 「世界を動かす力」セレンディピティの謎を解く

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セレンディピティが“私たちの身に降りかかる単なる偶然”ではなく、実は“点と点を見つけ、つないでいくプロセス”だと理解すると、他の人には断絶しか見えないところに橋が見えてくると著者は表現している。

いわば、それこそが“活かせる人”と“活かせない人”との差につながっていくということなのだろう。

世界はセレンディピティに満ちている

本書は、そんなセレンディピティが生まれるメカニズムを解明する科学的研究と、世界各地でセレンディピティを起こした多様な人々の事例をもとにして書かれている。

そして、読者の人生に幸運なサプライズが頻繁に起こり、そこからよりよい結果が得られるように、理論的な枠組みとトレーニング法が紹介されてもいる。

これはセレンディピティを受け身でなく、能動的なものととらえる、いわば「スマートラック(賢くたぐり寄せた幸運)」の発想だ。
(金持ちの家に生まれるといった)努力とは無関係に訪れる、「純粋な」幸運や運任せの姿勢とはまったく違う。
「序章 セレンディピティ――世界を動かす隠れた力」より

つまりセレンディピティ・マインドセットは、圧倒的な成功と幸福を手にした人々が、有意義に生きるための支えとしてきた人生の哲学だということである。

そしてそれは、私たち一人ひとりが身につけることのできる“実践的な能力”でもあるのだ。

では、幸運とセレンディピティは、なにがどう違うのだろうか?

自然災害や大物スターとのはちあわせといった偶然を、自らの手で生み出すことのできる人はまずいない。
だが好機に敏感になることで、セレンディピティを誘発し、それを活用しうる状況を生み出すことはできる。
見過ごされがちだが、成功者の多くは、一見偶然の出来事に大いに助けられているように見えても、単に「運がいい」だけではない。
たいていは意識的あるいは無意識的に、そのような「幸運」を引き寄せるのに必要な準備をしている。
――12ページより

 ともすれば私たちは、世界的な成功者たちを特別な存在と考えてしまいがちだ。けれども実際のところ、自分と周囲のためにセレンディピティを育むことは“誰にでもできる”のだ。

なぜなら、日常のささやかな場面から人生を左右するような大事件まで、セレンディピティは私たちの生活のなかにもあふれているのだから。

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