新宿まで33分、家族で住んでも「8万円」の街の全貌 駅名が寺院のエリアに暮らす人たちの特権 

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高幡不動尊を含む都立多摩丘陵自然公園を取り囲むように住宅地が整備されている。駅に近い場所には高層のマンションも多い。駅から離れ、不動尊を過ぎると、戸建ての住宅が増えてくる。ショッピング施設は駅の周りに集中している印象だ。 

駅から少し歩いた場所にある不動産屋さんで話を聞くことができた。人の良さそうな丸顔の男性なのだが、「話はしてもいいですけど、店と私の名前は出してもらいたくない」とのこと。それでも、お話を聞かせてくれるのであれば嬉しいことこの上なしである。ここでは便宜上、不動産屋Yさんとしておこう。 

冒頭で紹介したように「この街はコンパクトに整備されている」と教えてくれたのがこのYさんだ。 

駅の近くには高層マンションも立ち並ぶ(筆者撮影) 

Yさんいわく、日野市は街灯のLED化が近隣の市よりも早かったとのこと。市民の防犯意識の高さがそうさせたのだそうだ。

市に確認すると、市が管理する1万2266の街灯のすべてのLED化が終了したのは2018年の2月だったとのこと。さらに、災害などの停電時にも消えない「災害時無停電照明装置」31基を市内10駅の周辺に設置している。「夜が明るくなった」と市民には好評のようだ。 

「駅近くにあるスーパー『食品の店おおた』(東京都日野市高幡1002-6)の品揃えが素晴らしいんですよ。

こうしたスーパーじゃなかなか手に入らない、有名豆腐店“三河屋”の商品を扱っているんですよ。ちょっと離れた三沢地区に本店がある豆腐屋さんです。ここの厚揚げがイチオシなんです。

レンチンして塩を少しだけパラッとやってからホクホクって食べる。もう、お酒が何杯でも飲めます」(Yさん) 

地元密着のスーパー「おおた」(筆者撮影) 

2人暮らしを始めるのに適した街?

「ここ高幡不動は、2人暮らしを始めるカップルに選ばれることが多い街なんですよね。

例えば、八王子に住んでいた男性と、多摩センターに住んでいた女性が、新宿の職場で出会って、八王子と多摩センターの中間地点の高幡不動を選ぶ、とかね。なぜかそんな例が多い。

これまで何度もそうしたカップルにお部屋をご紹介してきました。都心で働いてるけど、育ったのが郊外だから、住むのはちょっと落ち着いた場所で、そんなふうに考える人たちに選ばれるんでしょうね。家賃相場もかなりお手頃です。シングルタイプで4.5万円くらいから、ファミリータイプだと8万円くらいからのご紹介になります」(Yさん) 

いろいろと教えてくれた地元不動産屋のYさん。名前を出すことは許してもらえなかったが、店舗は駅から歩いて数分の場所だ。高幡不動でお部屋探しの際は、丸顔で目元に常に笑みを浮かべているイケメンのYさんを探してみてほしい。 

もうひとつ、筆者が魅力を感じたのは、街から富士山が見えることだ。モノレールのホームからはかなりきれいに見えるとのこと。筆者も帰りの京王線の電車の車窓から、遠くに富士山の姿を見ることができた。 

不動尊と自然と富士山。魅力たっぷりの高幡不動。年末年始以外も、訪ねてみる価値はありそうだ。 

末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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