学生の学習促進から研究にも使える!大学教員が知っておくべき生成AI活用 教育や研究の質向上に役立てることが重要に

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近年の生成AIの進化は目覚ましく、その性能は向上し続けています。例えば、ChatGPTの基盤モデルであるGPT-4は、アメリカの司法試験において、上位10%に入る成績を収めています。

しかし、生成AIは万能ではありません。簡単な計算ミスをするなど、まだ完璧な存在とは言えません。生成AIはあくまでも、人間の思考や活動を補助するツールとして捉え、その結果を鵜呑みにせず、批判的に検証することが重要です。

学生は生成AIをどのように使っているか?

大学教員としては、学生がどのように使うのかを知っておくことも重要ですので、学生視点の活用例についても紹介します。

最初に思い浮かぶのは、不正に利用されることかと思います。例えば、以下のような不適切な活用例が考えられます。

• レポートの自動生成

レポート課題の情報などを与えて生成AIにレポートを自動生成させます。ある程度のクオリティの文章が得られるとそのまま提出する学生も出てくる可能性があります。そのため、生成AIが自動生成しにくい課題にすることをおすすめします。例えば、課題に図を取り入れる、実験やフィールドワークを取り入れる、授業特有の専門的な内容を含めるなどが挙げられます。

• 選択式問題への自動回答

 生成AIは、選択式問題が入力されると正解を出力することがあります。ただし、問題によっては正解できないものもあるため、すべての選択式問題が不正に解かれるわけではないですが、不正に解かれる可能性があることも念頭においたほうが無難です。

 

ここまでは、不正利用についてフォーカスして説明しましたが、学習を促進させるような使い方も可能です。例えば、以下のような例が挙げられます。

• 自分専用の教材作成

例えば、英語が苦手な学生であれば、苦手な単語をリストアップし、それらを使った例文を生成AIに作成してもらうことで、より実践的な学習が可能になります。

• 自作のレポートに対するフィードバック

完成したレポートを生成AIに入力し、「このレポートの内容について、改善点や追加すべき点などを教えてください」といった指示を出すことで、フィードバックを得られます。

 

ほかにも課外活動の場面で使うことも考えられ、活用の幅は非常に広いです。

教員は業務効率化や質の向上を実現できる可能性がある

大学教員は、教育活動、研究活動、事務作業など、さまざまな業務で生成AIを活用することで、業務効率化や質の向上を実現できる可能性があります。以下に例を挙げます。

<授業関連で使う>

• シラバス作成の効率化


生成AIに授業の概要や学習目標を入力することで、基本的なシラバスの構成案を自動生成できます。

• 小テスト問題の作成

小テスト用の選択式の問題を生成AIに作成してもらうこともできます。さらに解説もつけてもらえます。ただし、正確でない出力もあるため、教員自身が最終チェックすることが重要です。

<研究関連で使う>

• 論文へのフィードバック


論文の草稿を生成AIに入力し、査読者としてのレビューを受けることも可能です。最新のモデルだと鋭いコメントを出してくれることもあり、筆者も実際に利用しています。

• 英文校正

生成AIの英語に関する能力は高く、自身の英文の校正をしてもらうことも可能です。ただし、回りくどい表現が出てきたり、専門的な表現はうまく扱えなったりするため、最終的には人間の確認が必要ですが、クオリティの高い校正をしてくれることが多いです。

<事務で使う>

• 事務作業の効率化


機密情報を扱える環境が確立されている場合、または入力内容に機密情報を含まない場合は、学生やほかの教員への連絡事項、会議の議事録作成、報告書の作成などを生成AIにサポートしてもらうことで、事務処理の負担を軽減できます。

• 多言語対応

留学生向けの資料作成や、海外からの問い合わせ対応などにおける、翻訳で生成AIを活用することができます。生成AIを用いることで国際化に対応した事務処理が簡易に実現できます。
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