さて、日本の海外渡航者が最もかかりやすいのは「旅行者下痢症」である。水や食べ物から感染することが多いため、現地での生水や氷、生野菜やカットフルーツは控えるようにいわれている。国によっては、レストランで出されるミネラルウォーターも、フタが空いたりしていたら危ない。中身が水道水ということがあるからだ。
ガス入りミネラルウォーターは相対的に安全
「心配なときにはガス入りのミネラルウォーターを選ぶとよいでしょう。ガスには殺菌効果があるからです。また、現地で果物を調達するときには、自分で皮をむいて食べるオレンジやリンゴなどがお勧めです。ホテルに備え付けのポットで煮沸した水を冷まして、果物を洗うときなどに使うのも一考です」
もし、現地で下痢症状を起こしたときのことに備え、日本から市販の下痢止め薬を持っていくことも忘れずに。高熱や血便の症状が伴うときなどには、現地の医療機関を受診する必要があるが、それ以外のときは、成人ならば市販薬を活用してもよいそうだ。
「海外で注意しなければならないのは、下痢、蚊を媒介とした感染症、呼吸器疾患の感染症だけでなく、動物から感染する狂犬病などもあります。狂犬病は、致死率がほぼ100%の恐ろしい感染症ですが、世界では至るところに潜んでいるのです。
動物には近づかないようにしましょう。また、タトゥやピアスの穴開けのような美容行為で、B型肝炎やHIVなどに感染するリスクもあります。感染症リスクを上手に回避して、海外旅行を楽しんでいただければと思います」と濱田教授は話す。
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