5時間待ちも、「中目黒のスタバ」が繰り出す仕掛け ここで生み出されたアイデアが全国の店舗に波及
開業直後から人気店となり、「入店まで6時間待ち」という日もあったが、誕生翌年にコロナ禍となり、状況は一変。インバウンド(訪日外国人客)が消えた時期は近くのオフィスで働く人や近隣に住む人の利用が多く、店内も落ち着いていた。コロナ明けの現在は開業時の状況に近い。
「『ロースタリー 東京』は、商品・業態・人材いずれの面でも、スターバックスの『イノベーションラボ』(イノベーティブなアイデアが次々と生み出される実験場)として機能しています。メディアからは『旗艦店』と表現いただくことも多いですが、フラッグシップ的な位置づけは考えていません。ここで生み出されたアイデアが全国の店舗に波及したり、実験的なエッセンスが検証されたりと、まさに『ラボ』のような全店舗の心臓的立ち位置です」(菅原氏)
以前の取材では、「ロースタリー 東京」について「イノベーションハブ」(革新的な商品・サービスを生み出す基盤)という説明を受けた。取り組みが他店に波及した事例を紹介しよう。
「ティバーナ バー」を参考にした店を各地に展開
開業当初から同施設の2階にあるのが「ティバーナ バー」だ。茶系ドリンクの専門エリアで、置かれている石臼はディスプレーではなく実際に使って抹茶ドリンクを出す。
「海外から来たお客さまはメニューを見ないで『Matcha』とご注文されるほどです」(同)
ティバーナ バーを参考に開発された店が「スターバックス ティー&カフェ」だ。最初の店は2020年7月、東京・六本木に「スターバックス コーヒー 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ店」(通称「ティバーナ」)としてオープンした。
当時の取材記事では下記の〈〉内のように記した。
〈紅茶をはじめ、さまざまな茶系ドリンクを前面に打ち出す。コーヒーも飲めるが、主力はティーだ。同社の表現を借りれば「色鮮やかで香り豊かな“ティー”を多彩なビバレッジで展開」となる。六本木では来店客層として、近隣で働く女性も意識した〉
その後は各地に展開。現在は大阪府や福岡県、富山県などにも店があり、国内14店を展開する。
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