大川原化工機「冤罪事件」、国と都がまさかの控訴 捜査・立件を主導した「渦中の人物たち」の今

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そこで、宮園警部は警視庁公安部長から経産省に圧力をかけるよう画策する。

「公安部長が動いた」

そう上司に聞かされた経産省の笠間大介課長補佐(下図では「K課長補佐」)は「ガサ(家宅捜索)はいいと思う」と公安部に譲歩した。笠間課長補佐はT検査官の上司である。経産省は輸出規制を所管しており、警視庁公安部外事1課からは規制当局の立場から違法性の認識を求められていた。

東京地検は逮捕の1年半前から、同地検の塚部貴子検事は逮捕の9カ月前から、継続的に宮園警部から相談を受けていた。「5人の従業員が『装置に残った菌は殺すことができません』と言っている」と別の検事から聞いても、塚部検事は意に介さなかった。実際の装置を見ることもなく、大川原社長ら3人を起訴したのである。決裁したのは当時、東京地検の検事正だった曽木徹也検事だった。

大川原化工機事件の構図

捜査・立件を主導した人たちは出世

大川原化工機事件を立件した公安部外事1課は警察庁長官賞と警視総監賞を受賞。捜査員ら15人が総監賞で個人表彰もされた。総監賞では1万円の副賞も各人に授与された。

捜査を指揮した宮園警部は警視に昇任し現在は亀有署に勤務。安積警部補は警部に昇任し蒲田署にいる。

一方、「従業員が『温度が低くなる』と言っている。もう一度測ったほうがいいのでは」と宮園警部に進言した時友仁警部補は、警部補のまま野方警察署に異動した。

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