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個人主義は行き過ぎた、コミュニティーの復権を 『強欲資本主義は死んだ』書評

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  • 河野 龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長・チーフエコノミスト

INDEX

強欲資本主義は死んだ 個人主義からコミュニティの時代へ(ポール・コリアー、ジョン・ケイ 著/池本幸生、栗林寛幸 訳/勁草書房/3850円/320ページ)
[著者プロフィル]Paul Collier/英オックスフォード大学教授。John Kay/英国を代表する経済学者の一人。英オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジ・フェロー。

2010年代、先進国では中道派の政治勢力が退潮し、社会分断が深刻化した。グローバリゼーションやITデジタル革命の下、中間層が瓦解したことが背景にある。本書は英国で尊敬される良識派の経済学者らが10年代以降の社会分断の原因と対応策を探った好著だ。分断には08年の国際金融危機も影響したが、本書は2つの個人主義の行きすぎによる自己中心的思考の蔓延を主因に挙げる。

2つの個人主義

1つは「所有的個人主義」だ。自らの労働が生んだものは自分のものというジョン・ロックに始まる財産権の思想だ。まっとうな主張のはずが、市場原理主義と合わさり、行きすぎが生じた。1960年代までは、米国でさえ上場企業は株主の所有物とは考えられていなかった。

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