「野球の試合長すぎ」大谷も違反のルール導入の訳 北米4大スポーツの中でも野球の試合時間は長い

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NBA、NFL、NHLでは観客は試合前後の時間やインターバル、ハーフタイムのショーなども含めてスタジアムの滞在時間は2時間から3時間前後になる。

野球は「純粋な試合時間」が平均で3時間10分、4時間を超えることも珍しくない。滞在時間はそれ以上に長い。選手が実際に稼働している時間も他の3競技に比べて圧倒的に長い。しかもMLBの場合、原則として引き分けがないため、同点の場合は延々と試合を続けることになる。

近年、MLBのマーケットは他の3大スポーツに押されて縮小気味だった。MLB機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは、その一因が「試合時間の長さ」にあるとして、就任後、次々と「時短」につながる改革を断行してきた。

「時短」につながる改革の結果

・2017年 「申告敬遠」の導入
故意四球(敬遠)を選択するときに投手は実際にボールを投げずに、監督がベンチから審判に申告する。
・2020年 「ワンポイントリリーフ」の禁止
これまで投手は1人以上の打者に投げれば交代することができたが、打者3人以上、または3アウト目を取るまで降板することができなくなった。
・2020年 「タイブレーク」の導入
延長戦は無死2塁からスタートし、決着がつきやすくする。

もともと敬遠は1試合当たり両チームで0.4個(2016年は2428試合で932個)というレアなリザルトだ。「申告敬遠」で節約できるのは30秒程度。年間で7~8時間しか時短にならない計算で、実効性が疑問視された。

「ワンポイントリリーフ」は、投手交代の頻度を減らすことが目的だった。しかし2019年は1試合当たり両チームで平均2.41人の救援投手を起用したものの、導入後の2020年は2.48人、2021年は2.43人、2022年は2.30人とルール実施の効果が出ていない。「タイブレーク」は、もともとコロナ禍での試合時間短縮を目的として設定され、コロナ明け後も恒久的に続けることとなった。ただ、延長戦は短縮されたが、その効果も限定的だった。

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