━━所得という1つの指標で線引きをするのは、シンプルでわかりやすいからなのではないですか。
同じ年収でも、子どもの数によって、子育ての負担感は大きく変わる。親の就労状況、親や子ども自身の健康状態、同居家族の介護の有無なども勘案して給付の有無を決定するのが合理的だ。また、年収1119万9999円は対象になるのに、1200万円は対象にならないという”崖”が生じるのも理不尽だ。こうした制度上の不公平をできるだけなくす努力はすべきだ。
加えて言うなら、再分配における公平さが重要なのは子育て世代だけに限らない。今回は児童手当が注目を浴びているが、問題は児童手当だけにとどまるものではない。
国や地方自治体の持つ行政記録情報を活用すれば、所得だけでなく、家族構成や雇用、健康、介護の状況などを多面的に把握し、本人からの申請を待つのでなく、行政側から働きかける”プッシュ型”で、必要な人に必要な支援を届けていくのも可能な時代になっている。
月5000円増えても「もう1人」とはならない
━━もっと複数の指標で測ったほうがいいということですか。海外ではどういった方法を取っているのでしょうか。
アメリカでもコロナ禍で3度にわたる現金給付を行っているが、アメリカにおける現金給付は崖を作らないように、さまざまな工夫がなされている。所得がある水準を超えると、給付が0になるというのではなく、階段状に徐々に減額されていくようになっている。
加えて、ハーバード大学の研究者らが人々のクレジットカードの支出履歴や雇用状況などを地域ごとに集計して、リアルタイムで把握しながら、「新型コロナがいつ、誰に、どのような影響をもたらしたのか」を仔細に分析し、現金給付につなげることに貢献している。
諸外国で行われている研究によると、子育て世代への現金給付や所得移転は確かに出生率にプラスの影響を与えるものの、その効果は決して大きなものではないということもわかっている。中には児童手当が出生率の上昇につながらなかったことを示した研究もある。
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