教育基本法とは?教育に関する法律についてわかりやすく解説

教育基本法とは?
教育基本法とは、日本の教育に関する基本的な考えや教育制度に関する基本事項を定めた法律です。教育に関するさまざまな法令の運用や解釈の基準となる性格を持つことから「教育憲法」と呼ばれる場合もあります。
理念を強く宣言する教育基本法の前文において、「公共の精神」「伝統」は重要なキーワードです。「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願う」としたうえで、この理想を実現するために教育を、公共の精神を尊ぶことや、伝統の継承などを通して推進するとしています。
教育基本法の直近の改正

2006(平成18)年に公布・施行された現行法は、1947(昭和22)年に制定された教育基本法(旧法)すべてを改正したものです。
教育基本法は前文と第1章から第4章までで構成されており、本則は18条。改正によって新設された条文は、第3条、第7条、第8条、第10条、第11条、第13条、第17条です。
教育基本法 第1条~第5条
(教育の目的)
教育基本法 第1章 教育の目的及び理念 第1条
教育基本法第1条は教育の目的そのものを明記しています。
教育基本法 第1章 第2条(教育の目標)
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
教育基本法第2条では、第1条の目的の実現のためにどうすればよいかについて、5つの教育目標をより詳しく掲げています。
教育基本法 第1章 第3条(生涯学習の理念)
社会構造の変化に伴う、生涯学習の重要性を明示しています。
*生涯学習とは、生涯に行うあらゆる学習を指しています。学びの対象は、学校教育や社会教育、スポーツ、趣味などさまざまです。
教育基本法 第1章 第4条(教育の機会均等)
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
※門地:家柄のこと
障害者に対する国と地方公共団体による教育支援の責任について明示しています。
教育基本法 第6条~第10条

教育基本法 第2章 教育の実施に関する基本 第5条(義務教育)
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。