戦争やパンデミックが「予測不可能」である理由 歴史家がカオス理論から読み解く「大惨事」

惨事が外的要因によることは稀である
自然のカタストロフィであれ、人間が招いたカタストロフィであれ――このように二分するのは、後で見るように、いくぶん間違っているのだが――その歴史は、経済、社会、文化、政治の歴史から切り離して研究することはできない。
惨事がもっぱら外的要因によることは稀であり、例外は、大規模な天体衝突(6600万年間起こっていない)か、エイリアンの侵略(まったく起こったことがない)ぐらいのものだろう。
巨大な地震でさえ、どれほどの惨事になるかは、断層線に沿って――あるいは、もし津波が引き起こされれば、海岸線に沿って――どれだけ都市化が進んでいるか次第だ。
パンデミックは、新しい病原体と、それが襲いかかる社会的ネットワークから成る。ウイルスだけを調べても、感染がどれほどの規模になるかはわからない。なぜならウイルスは社会的ネットワーク内で感染可能な数の人にしか感染しないからだ。
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