有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #マネー潮流

長期金利上昇とパウエル議長の手腕 2月後半以降「悪い金利上昇」のようにも見える

4分で読める 有料会員限定
  • 木内 登英 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
きうち・たかひで 1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

長期金利の上昇にどう対応するかが、主要中央銀行にとって大きな課題となってきた。長期金利上昇の震源地は米国である。10年国債の金利は年初には1%を切っていたが、3月には一時1.6%台にまで上昇した。

米国経済がコロナショックから立ち直り改善を続けていく、また物価上昇率も先行き高まっていくとの観測が、背景にあるだろう。バイデン政権による1.9兆ドル(200兆円超)規模の巨額の経済対策も、そうした観測を高めている。

金融市場の物価上昇率見通しを反映するとされる5年物の物価連動債から算出されるブレークイーブンインフレ率は、3月に入ってFRB(米連邦準備制度理事会)の2%の物価目標を上回る2.5%まで上昇した。これは実に、リーマンショック(グローバル金融危機)が生じた2008年以来の高い水準だ。

長期金利の上昇が、景気・物価情勢の改善を背景にしており、また経済や金融市場全体の安定を損なわない場合には、それは「よい金利上昇」といえる。確かに当初は長期金利の上昇は株価の上昇と足並みをそろえて進んでおり、「よい金利上昇」だった。

ところが2月後半以降は、長期金利の上昇が株価の下落をもたらす局面が目立つようになった。金融市場の安定を損ね、また景気情勢の改善にも水を差しかねない、いわば「悪い金利上昇」に転じてきたように見える。

実際には、金融市場の物価上昇懸念は行き過ぎの感がある。しかし、そうであっても、顕著な長期金利上昇や株価下落は実際に経済を悪化させるため、中央銀行としては黙認できない。また、安全資産である国債の金利上昇は、証券化商品、社債などさまざまなリスク性資産の価格調整を誘発し、それが金融機関に大きな損失をもたらし、金融不安につながる可能性もある。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数