米10年物国債金利は昨年末の1%以下という未曾有の低水準から、先月末以降、1.5%を超えた。過剰な金融緩和によるバブル化も指摘されていた株式市場では、長期金利の上昇が株価調整を招くのではないかとの懸念も出ていた。1.0%を超えたら危険信号、いや1.2%が分水嶺だなどと指摘されていたわけだが、ここまでのところ世界的にもまだ本格的な調整は起きていない。
「未曾有の低金利」による株価の過剰な押し上げという市場の見方は間違っていたのだろうか? ここにきて改めて考えさせられるのは、「金融緩和の程度」を決めているのはいったい何なのかということである。
約20年前、日本銀行が世界で初めて量的緩和政策を実行に移したとき、「金利」(=ここでは短期金利)がすでにゼロの状況で、銀行の超過準備預金という「量」をもって金融緩和の程度を測ることが始められた。
その後、2013年に量的質的緩和が開始され、膨大な長期国債を市場から購入してマネタリーベースという「量」を拡大する政策が採られた。しかし結局、インフレ率を大きく引き上げることはできなかった。その意味で、「金利」ではなく「量」が金融緩和の程度を決定するというマネタリズム的な考え方は、過去20年間の日銀の実験によってすでに否定されたといえる。
しかしここにきて、「金利」ではない「何か」が株式などの資産価格を押し上げていると考えざるをえなくなり、再び「量」の存在に注目する必要が出てきたように思える。
昨年7月の本欄で、膨大な財政マネーの供給を主因に各国でマネーストックが急増していることを指摘した。現在、米国では前年比プラス25%強、日本では同プラス10%弱に達している(いずれもM2)。マネーストックは、銀行準備やマネタリーベースではなく、市中に供給される総貨幣の「量」を示す。この伸びが大きく鈍化するまでは「量」の水準は維持されることになり、金融緩和の程度はまったく弱まっていないともいえる。
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