トランプ支持者たちによる米連邦議会議事堂占拠の報は正月ボケが一瞬で吹き飛ぶ衝撃だった。神殿のような荘厳な建物に群衆がなだれ込み、備品を破壊するさまを見て、既視感とともに思い出したのは約30年前のソ連・東欧の社会主義体制崩壊時の映像だ。
それまで国家の中枢施設の破壊に至るような政変は、途上国の専売特許という印象があった。体制の矛盾が限界に達していたとはいえ、欧州という「世界の模範たる文明圏」の一角で、そのような野蛮な事態が起こったことに驚かされた。
一方、本件に対する国内の反応は、緊急事態宣言の再発出が検討されていたタイミングということを差し引いても、全体的にかなり淡々としたものに感じられた。もちろん海外の事件より、国民の健康や生活を直撃するコロナ禍に国民の関心が集中するのは当然である。だが、日本以上に感染症の影響が深刻なはずの欧州では、各界のリーダーや報道機関が直ちに厳しい反応を見せていた。
というのも、パンデミックは人類に対する重大な脅威であるが、暴力による民主主義の破壊も同等か、それ以上の脅威だからだ。一人ひとりの個人は、少人数の集団に対してすら、あらがうのは難しい。さらに「集団」が暴力を行使し始めると、抵抗は極めて困難になる。やがてどんな理不尽な命令だろうと、唯々諾々と従うほかなくなる。
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