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『鬼滅の刃』大ヒットから何を学ぶか ヒット映画になるには不利な条件が少なくない

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映画『鬼滅の刃』が大ヒットしている。しかし、この作品、ヒット映画になるには不利な条件が少なくない。

まず、映画化されているのは原作漫画の途中の一部分であり、そこまでのストーリーを知らなければうまく作品に入り込めない。また、「12歳未満は保護者の助言・指導が必要」とレーティングされている。実際かなり残虐なシーンがあり、ジブリ作品のように家族で安心して見られるものではない。

にもかかわらず、ここまでヒットしたのはなぜか。

要因の1つは、原作の冒頭から映画に至る物語を先行してアニメ化したテレビ版の存在がある。テレビ版は(映画版でも)主人公たちが格好よいのは当然として、敵である鬼の思いや命にも焦点を当て、「もの悲しさ」を色遣いやBGMでうまく表現していた。残虐なシーンも不快感につながらないように丁寧に作られており、多くのファンを獲得していた。

映画版の公開前に、テレビ版を地上波やネットで一挙放映する戦略も当たった。原作漫画もテレビ版も未見の人にはストーリーを知る機会となり、ファンに対しては期待感を高める効果があった。

時代が要請する純粋さ

何より、鬼滅の刃の「純粋さ」が、今の時代に合ったと考えている。最近の漫画やアニメでは凝った設定や練られた伏線、哲学的な問いなど複雑な作品が受けていた。だが、鬼滅の刃は、恥ずかしくなるほど真っすぐなメッセージが売りだ。「人は心が原動力だから、心はどこまでも強くなれる!」とはテレビ版最終話の主人公のせりふだ。物事を斜めに見ることに慣れ、さまざまな批判がSNSで飛び交う社会であるからこそ、子どもだけでなく大人まで主人公の純粋さに胸を打たれたのだろう。

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