「今回の不祥事で信頼を大きく損ねてしまったことに弁明の余地はない。再び挑戦の機会を与えてもらった以上は尽力したい」
エルピクセルの島原佑基CEO(33)はこう語った。エルピクセルは医療、製薬、農業など生命科学領域の画像解析を研究開発する東京大学発のベンチャー。2014年の創業直後、学術論文の画像加工などを検出するソフトウェアを開発。英『ネイチャー』誌に掲載された、STAP細胞の論文に使われた画像に不自然な箇所があったと指摘し、注目を集めた。昨年10月には脳の画像をAIで解析し、脳動脈瘤の疑いがある部分を検出するソフトを国内で発売。順調に成長していた。
だが昨年12月に状況が一変した。経理担当の元取締役による横領が発覚したのだ。被害総額は約33億円に上り、FX取引に充てていたとされる。元取締役は今年6月に逮捕された。エルピクセルは、オリンパスや富士フイルムなどから18年10月までに累計約37億円を調達していたが、その大半が消えた。
浮かび上がったのは管理体制の甘さだ。横領のあった期間は17年4月〜19年1月。元取締役は、会社の預金通帳の写しを改ざんしていた。とはいえ、19年12月に元取締役本人が申告し発覚するまで1年近くも気づかなかったのは、「私を含め役員たちのチェック体制に問題があった」(島原氏)。元取締役に独占的に資金の管理を任せ、通帳原本を見て預金残高を確認することを怠っていた。「本業が順調に進んでいたため、まさか横領されるとは思わなかった」(島原氏)。
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