「東証1部への直接上場を目指していたが、最終的にはマザーズに上場することになった」。フリマアプリ国内首位で、希有なユニコーンだったメルカリの長澤啓CFOは悔しさをにじませる。ユニコーンとは創業10年未満、企業価値10億ドル以上の未上場企業のことだ。
2018年のメルカリ上場から2年。取引所に株式を上場するためのルールが大きく変わろうとしている。ベンチャー企業にとって影響の大きい変更点は2つだ。まず、業績に関する基準が緩和され、とくに時価総額の大きいユニコーンの東証1部への直接上場が柔軟に判断されるようになる。一方で、これまで存在していた1部上場の“近道”は閉ざされる。
撤廃される「赤字の壁」
東京証券取引所は22年4月にプライム、スタンダード、グロース(いずれも仮称)の3市場に株式市場を再編する。7月末、この市場再編に先立って、今年11月から上場や市場変更についてのルールを変更すると発表した。
そもそもメルカリはなぜ1部に直接上場できなかったのか。現行の判断基準には「形式要件」と「適格要件」の2つがある。同社は、時価総額などについて定めた前者を満たしていたが、適格要件は満たしていないと上場時に判断された。
適格要件とは「継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること」というもの。具体的な数値基準こそないものの、赤字の企業については安定的な収益基盤がないものとして1部上場が認められてこなかった。
しかし、ベンチャー企業に赤字はつきものだ。とくにメルカリなど消費者向けITサービスを提供する企業の場合、広告宣伝費や開発費を大量投入し顧客基盤の拡大を優先するからだ。
この記事は有料会員限定です
残り 602文字
