トランプ政権は新型コロナウイルス対応で批判にさらされ、これまで以上に中国たたきに熱を上げている。責任回避に加え、中国経済の回復を遅らせるためだ。トランプ大統領はこれまでも中国を目の敵にしてきたが、今年初めには米中貿易交渉の「第1弾合意」が成立し、中国のコロナ対応を繰り返し称賛するといった雪解けの兆しも見られた。ところがここにきて米政府は、再び中国を「最大の敵国」に仕立て上げている。
トランプ氏が中国に激怒しているのは明らかだ。中国はコロナの封じ込めに失敗し、感染拡大を隠蔽しようとした、というわけである。ポンペオ国務長官は、ワクチン研究に必要なウイルスのサンプルを提供しなかったとして中国を公然と批判。中国のせいで何十万人という死者が出たと責め立てた。ポンペオ氏らは武漢の研究所でウイルスが流出したことを示す「多くの証拠」を握っていると主張するが、米情報当局は「(ウイルスは)人工でも遺伝子操作されたものでもない」と結論づけた。中国国営メディアはポンペオ氏を「人類共通の敵」と呼んでやり返した。
だが、こうしたののしり合い以上に重要なのは、トランプ政権が中国に新たに適用しようとしている敵対的な通商政策だ。ここにはコロナ対応をめぐる制裁措置も組み込まれる可能性がある。ホワイトハウス関係者が「中国をどの程度痛めつけるか、そのためにどんな手を使うか議論している」と語ったとする報道もある。制裁関税の上乗せのほか、中国政府を米国の法廷で裁けるようにするなど、あらゆる策が取り沙汰されている。
貿易交渉の第1弾合意では中国が米国から輸入を大幅に増やすことになっているが、コロナ禍で達成の望みは薄れた。そのため政権内ではタカ派の発言力が高まり、政策の強硬色が増している。例えば、トランプ氏は国内の送電網に使われる部品について、特定の国からの輸入を制限する大統領令に署名した。中国で軍事転用される可能性のある製品の輸出規制強化策も示された。いずれも最大の標的は中国だが、日本の輸出にも悪影響を及ぼすおそれがある。さらに米政府は優遇税制や補助金によって、中国に調達拠点を持つ米企業の国内回帰を促す案も検討中だ。
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