ドナルド・トランプ大統領の弾劾での無罪評決と民主党予備選挙での本命不在は、トランプ再選に向けた共和党の期待と民主党の恐れを高めている。
弾劾のヤマ場は、1月31日のジョン・ボルトン前国家安全保障担当補佐官らの証人招致への動議採決だった。ニューヨーク・タイムズ紙はボルトン氏の回顧録の草稿を入手し、「トランプ大統領がジョー・バイデン元副大統領親子に不利な情報をウクライナ政府から引き出すため、ボルトン氏に協力を求めた」と報じていた。もしボルトン氏が上院で証言すれば、弾劾の流れが大きく変わる可能性があった。共和党はミット・ロムニーとスーザン・コリンズ両議員を除く多数で動議を否決した。
2月4日の一般教書演説でトランプ大統領は、支持層である保守派向けの政策に邁進する姿勢を明らかにした。大統領は演説で自らが任命した2人の保守派の最高裁判所判事に言及し、憲法解釈上、個人に認められた人工妊娠中絶の権利を剝奪することを求める宗教保守派の期待を高めた。
翌5日の上院では、ロムニー議員を除く共和党全議員が弾劾に反対し、無罪評決を下した。ボルトン招致で造反したコリンズ議員は今回無罪に投票し、「大統領は今回のことでかなり大きな教訓を学んだと思う」と発言した。
しかし大統領は無罪評決後、弾劾で証人になったゴードン・ソンドランド駐EU(欧州連合)大使と、国家安全保障会議のアレクサンダー・ヴィンドマン陸軍中佐を解任した。このようなトランプ大統領個人の「利害や感情」による「権力濫用」こそが、そもそもの弾劾訴追の理由だったはずだ。
複数の共和党議員がこの復讐劇を止めようとしたが、もはや無罪評決に貢献した共和党議会に対してすら、大統領は聞く耳を持たなかった。13日、危機感を持った上院は、共和党8人の造反で大統領のイランでの軍事行動権限を制限する決議案を可決した。
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