米ニューヨーク(NY)にハイテク企業の集積が進んでいる。最近ではアマゾン、グーグル、フェイスブック、ネットフリックスといった企業が、競うようにNYオフィスの拡充を急いでいる。皮肉なことに、こうしたNYの成功体験は、自治体による企業誘致策の不要論につながっている。きっかけとなったのがアマゾンだ。
アマゾンは昨年2月、NY市に新設を予定していた第2本社(HQ2)建設を断念すると発表した。税制上の優遇措置など、総額30億ドルという巨額の誘致費用に対する住民の反発が理由だった。そのアマゾンが昨年12月、NYのマンハッタン内で新たなオフィスの賃貸契約を結んだ。マンハッタン周辺に約5000人の雇用を持つ同社は、新オフィスの開設で1500人の雇用増を見込む。
市が巨額の誘致策を用意したHQ2と異なり、今回の契約に際してNY市は特別な誘致策を提供していない。これでは誘致策不要論が盛り上がるのも無理はない。HQ2反対の急先鋒だった民主党のオカシオコルテス下院議員は、「どのみちアマゾンはNYにやってきた」と得意げにツイートしている。
これまで米国の自治体は、巨額の予算を投じて企業誘致を競ってきた。全州を平均すると、法人税収の約4割を企業への優遇税制に費やしている。全米での誘致費用は年間300億ドルに達し、1990年の約3倍に膨らんだもようだ。
しかし、今回のアマゾンのような事例は特殊ではない。過去に全米の自治体が行った誘致策でも、対象となった企業の75%は誘致策がなくても進出していた企業だったという。
また自治体が誘致に成功した場合でも、企業の進出が地域経済に貢献するとは限らない。1月に米コロンビア大学と米プリンストン大学の研究者が共同で発表した分析結果によれば、周辺の産業や地域経済を成長させる波及効果は確認できなかった。
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