「潰れないベンチャー」の秘密
キーエンスの決定的瞬間だった。1988年1月18日、午後1時44分。この瞬間、キーエンスは任天堂を抜いて「株価日本一の座」に就いた。株価8340円。任天堂に辛くも40円差をつけて奪い取った王座である。
しかし、キーエンスとは一体、何者?――大半の読者の疑問ではあるまいか。それも当然。キーエンスは光電スイッチやレーザー測定器などFAセンサーのメーカーだが、大証2部に上場したのは昨(1987)年10月。現在のキーエンスに社名変更したのは1986年10月、前身のリード電機を滝崎武光社長が創業したのは1972年3月だ。世間に名を知られる間もないうちに、「日本一」にのし上がってしまったのだ。
「到達感? 株価水準についてはなんとも言えません。株価よりも、総資本経常利益率で日本一になったことが第1の到達感。総資本経常利益率は会社の大きなハカリ。それをよくしようとやってきた。偶然で出来るものじゃない」(滝崎社長)。
1986年度の売り上げ73億円、経常利益26億円。ナリは小柄だが、総資本経常利益率37.7%は2位の任天堂をシッカリ1.7ポイント上回っている。
そのキーエンスに燃えるような視線を注いでいるのが、今秋の上場を確実視されている日本電産だ。上場問題に関しては一切ノーコメントだが、日本電産・永守重信社長はキーエンスへのライバル意識を隠さない。「向こうは300坪の敷地に30階建てのビルを建てたようなもの。こっちは3000坪の敷地に広大な工場をドーンと建てる。本当の大企業をめざしているんです」(永守社長)。
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