7月10日の東京時間における金融市場は片山さつき財務大臣の「家計や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめとする年金基金が日本の金融資産にさらなる投資をする方向で後押しする方策を追求したい」との発言を受けて円高・株高・金利低下とトリプル高で反応した。
本稿執筆時点では発言の意図する政策変更の内容やその時期などが判然としないため、詳細に論じることは控えたい。
もっとも、手段はさておき、政策の方向性として国内回帰を促す姿勢自体は必要なものである。
資金の国内還流を促す機運には注目すべき
かねて本欄や拙著では論じているように、政府・企業・家計の3部門が保有する潤沢な外貨建て資産が日本へ還流しないことが「仮面の黒字国」の実相であり、ここにメスを入れることが抜本的な政策対応になる。「世界最大級の対外純資産」は日本の富には違いないが、日本国民に裨益していないのであれば、そもそも必要なことは「国富の再定義」である。
年初来、方々で強調させて頂いている点だが、地政学リスクが多発しやすい世相を踏まえれば、かつては円高要因として理解されていた「国境の外にたくさんの資産を抱えている」という事実はプレミアム要因ではなくディスカウント要因になり得る。これほど巨額の対外純資産を抱えていても円の価値が名実双方のベースで切り下がっている理由は真摯に検討する必要がある。
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