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6月中旬に入り、立て続けに日米欧三極の中央銀行では金融政策決定会合が開催された。いずれも市場予想の範囲に収まる無難な挙動が見られたものの、三者三様といった印象も抱かれた。
それぞれの現在地を確認した上で、当面の日銀の動き方を検討し、円相場の行方を占ってみたい。
まず、6月11日に先陣を切ったECB(欧州中央銀行)政策理事会は、預金ファシリティ金利を2.00%から2.25%へ0.25ポイント引き上げた。2023年9月以来、2年9カ月ぶりの利上げとなる。
もっとも2月のイラン攻撃以降、ECBの利上げ転換は既定路線となってきたため、意外感はない。全会一致の決定であり、ラガルドECB総裁も記者会見で「他の選択肢は議論されなかった」と説明している。イラン攻撃後、G7中銀では初の利上げとなる。
ECBの目の前にあるインフレ圧力
今回の注目点は、利上げは将来的なインフレリスクに対する「予防」や「保険」ではなく、あくまで現状への対応と強調されていた点だろう。ラガルド総裁は「会合前にあちこちでECBは予防的な金利決定を行うという記事を読んだ」と前置きをした後、「It’s not at all the way we had our discussions, really(私たちの議論はまったくそのようなものではない)」と全否定している。
そのうえで利上げの背景について「われわれの議論は明確にエネルギーショックに基づいたものであった」と明言され、あくまで資源価格急騰に伴うインフレ圧力への措置だと強調している。
「保険的ではない」ということは、「一応、単発で行っただけ」というロジックではなく、「これに対応しなければ経済・金融情勢に悪影響が出るため行った」というロジックということである。その場合、インフレ圧力の払拭が認められない限り、利上げ局面は持続することになり、実際、そうなる可能性は高そうである。
利上げスタンスがもたらすユーロ高
今回改定されたスタッフ経済見通しにも示されるように、域内の経済・金融情勢は決して盤石ではないため、「一応、利上げする」という措置が許容されるような状況にはない。ゆえに、「経済は弱っているがインフレ抑制のためには早急な対応が必要」というロジックが必要である。今回はそうした事態に相当したため、「保険的ではない」というロジックが強調されたのだと理解できる。
利上げが一時的な「保険」ではないのだとすれば、ある程度は連続性を伴う措置として市場参加者は構えた方がよい。
本稿執筆時点で来年4月時点までのECBの利上げ織り込みは約1.7回(1回0.25%ポイント)まで進んでおり、これはFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の約1.3回よりも多い。当面のユーロ/ドル相場の支えにもなると考えられ、実際、米独金利差に沿って、その堅調さは確認できる状況にある。

