鶴光太郎氏(慶応大学教授)らのグループは、近著『日本経済のマクロ分析』で、近年の日本経済を「低温経済」と表現している。確かに日本経済は、消費、設備投資が盛り上がりにくく、物価・賃金が上がりにくい状態が続いている。まさに「低温経済」と呼ぶにふさわしい。こうした経済の下では、景気判断についてもこれまでとは異なる考え方で臨んだほうがいいように思われる。
景気には山と谷の基準日付がある。この基準日付によって、景気は上昇期(谷から山)と下降期(山から谷)に二分される。現時点で確定している最新の谷は2012年11月で、ここからアベノミクス下での景気拡大が始まった。
次はどこかで景気の山が来ることになるが、その1つの有力な候補が、すでに過ぎている18年の秋ごろである。日本経済研究センターが約40人の第一線エコノミストに景気の先行きをアンケート調査する「ESPフォーキャスト調査(19年11月)」によれば、34人中8人が「すでに景気の山は過ぎた」と答えている。これら景気後退派のエコノミストの多くは、18年の10月ごろが山で、すでに約1年間、景気後退局面にあると考えている。
18年10月ごろが山だったかどうかは、一見すると大きな違いだ。山でなかったとすると、12年11月以降、現在も景気は拡大し続け、戦後最長の景気拡大期となる。
一方、18年10月ごろが山だったとすると、すでに1年以上景気は後退局面だったことになり、「景気は緩やかに回復している」(月例経済報告)と政府が言い続けてきたことに疑問符がつく。消費税率引き上げのタイミングも批判されそうだ。政府は景気刺激のためにさらなる政策的対応を求められるかもしれない。
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