長時間労働の是正が叫ばれる世の中だが、長時間の「着座」も隠れた健康リスクとして問題視されている。デスクワーカーがいすに座る時間は日本では1日平均7時間とされ、世界の主要20カ国の中で最も長いという調査結果もある。IT、デジタル社会への移行に伴うパソコン使用時間の拡大が背景にある。
そんな「座りすぎ大国」の現状に一石を投じているのが文具・オフィス家具メーカーのコクヨだ。着座時間が体にかける負担を和らげ、仕事の能率を高めるパフォーマンス家具を展開する。
座る人の微細な動きに合わせて揺れるいす「ing」(イング)は、前傾や後傾、左右や斜めのひねりまで体の動きについていくのが特徴だ。ポイントは背骨の形。立っている人の背骨は横から見るとS字形状になっている。最も自然でリラックスした状態だ。それが通常のいすに座り長時間作業するとしだいに背中が丸みを帯び、つられて背骨のS字形状は崩れていく。イングに搭載されているグライディング・メカは、座った人の骨盤角度に密着し、2層のメカの組み合わせで360度、自由自在に揺れ、前傾や後傾など人体の動きに追随する。
体は長時間じっとしてはいられない。そんなことに気づいたきっかけは社内のアイデア会議だった。座面が動くスツール(丸いす)について検討をしていたが、議論を重ねた末、ものにはならないと「ボツ」が決定。その後の休憩タイム中、座っている状態から解放されたメンバーがそれぞれ背筋を伸ばし、腰をひねって緊張をほぐす。そんな姿を互いに見ながら「これって……」と雑談が始まり、揺れるいすのアイデアにつながった。
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