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ライフ #クラシック音楽最新事情

“アートの時代"における新しいパトロンのあり方 近年注目される個人からの委嘱

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  • 田中 泰 日本クラシックソムリエ協会 代表理事
ベートーベンのピアノソナタ第21番の楽譜には、パトロンであるワルトシュタイン伯爵の名が

芸術家にとってパトロンは不可欠な存在だ。ハイドン(1732〜1809)やモーツァルト(1756〜91)は、パトロンたる王侯貴族のお抱え音楽家として活動しながら数々の作品を生み出してきた。

史上初の“フリーランスの作曲家”といわれるベートーベン(1770〜1827)にしても、多くのパトロンに支えられて作曲を続けてきた。彼が心血を注いだ作品に書き込まれた、献呈者としてのパトロンの名前がその事実を証明している。もしかすると施し程度の軽い気持ちでバックアップしていたベートーベンが、クラシック音楽そのものを代表する偉大な存在になるなど、当時のパトロンたちは想像もしなかったに違いない。

そのパトロンの中でも史上最も特異な存在として知られるのが、ワーグナー(1813〜83)に入れ込んだバイエルン国王ルートヴィヒ2世だろう。彼の存在がなければワーグナー作品の多くは日の目を見ることもなかっただろうし、ワーグナーの聖地とされる「バイロイト音楽祭」も、今とは違う姿になっていたはずだ。

ひるがえって現代の音楽界はどんな状況だろう。21世紀の今も多くの作曲家が存在し、日夜新たな作品を生み出している。そのほとんどがフリーランスだ。彼らにとって最も重要な事柄は、「作品の委嘱」、つまり「曲を作ってほしい」という依頼なのだ。それにはもちろん映画音楽やCMソングといった商業音楽が含まれる。

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