2020年の米大統領選挙に向けた民主党の候補者指名レースで、1回目のテレビ討論会が開かれた。政界やメディアの関心は次の点に注がれている。トランプ大統領に最もタフな戦いを挑むことのできる候補者は誰か、あるいはメディアの見出しを独り占めするような派手な政策の持ち主は誰か、ということだ。
だが、このような視点で候補者選びを進めていては、民主党は根本的なミスを犯しかねない。
選挙の勝敗を左右するスイングステート(激戦州)の有権者は、財政的には保守派だ。党派対立をあおるようなパフォーマンスも、それほど響かない。民主党は、この点をしっかりと理解している候補者を擁立していく必要がある。
西海岸や北東部は気にしなくていい。これらの州では、どのみち誰が選挙に出ても民主党が勝つ。問題はアリゾナ、フロリダ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、オハイオなどの激戦州だ。ここでは、民主党の立候補者が競うようにして掲げる大規模な財政支出策が裏目に出かねない。
米国が垂れ流す巨額の財政赤字は、トランプ政権の大型減税のせいで一段と悪化した。米国は基軸通貨ドルの発行国という特権的な地位を手にしているため、歴史的には他国より多額の負債を抱えることができてきた。ただ、ドルの威信が揺らがないようにするためには、米国といえども財政赤字は野放しにできない──。良識ある政治家なら、党派に関係なく以前からこの点は理解している。
中でも、穏健な地方政治家の間では健全な財政運営を重視する考えが根強い。地方には連邦政府と違って通貨を増発して借金を返済する選択肢がないからだ。
財源なき政策の落とし穴
つまり、民主党の立候補者が訴えている「グリーン・ニューディール」(気候変動対策への大規模投資)、国民皆保険、学生ローンの免除などといった、財政赤字を急速に膨らませる政策は、健全財政の気風が強い地方では毛嫌いされやすい。財源のはっきりしない政策は、多くの有権者に恐怖感を抱かせるのが落ちだろう。
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