「その鶏はサンドイッチになるために道路を渡った」。いったい何のことだ? これは米国のバーガーキングが2018年に実験的に制作したCMのナレーションだ。「このCMはパターン認識能力を持ったディープラーニング(深層学習)アルゴリズムに、いくつものCMとリポートを学習させて制作された。AI(人工知能)はさまざまな業界で実用化されている。広告制作もその例外ではない」。プレスリリースはまことしやかにそう語る。
このプロジェクトの名前はAOR(Agency of Robot)。「これはAOR(Agency of Record:メインの広告代理店)に代わるまったく新しいビジネスモデルになるだろう」とプレスリリースは続ける。だが、米国の消費者にはこれがジョークだとすぐわかる。バーガーキングとそのAOR(メイン広告代理店)David Miamiは、最新のテクノロジーをちゃかした広告キャンペーンで有名だからだ。
17年には、音声入力デバイスのGoogle Homeを「悪用」したCMが話題になった。テレビから、店員に扮した男性が「OKグーグル、ワッパーの説明をして」と語りかける。リビングのどこかにあるGoogle Homeは「OKグーグル」に反応し、Wikipediaの「ワッパー」の項目を自動的に読み上げ始めてしまう。迷惑だという人も当然いたが、多くの消費者はこのCMを拍手喝采で迎えた。
「答え」はどこだ
冗談で作っている以上、バーガーキングもDavid MiamiもAIには広告制作は不可能だと考えているのだろう。AIが比較的得意なのは、広告投下量やメディアの組み合わせの最適化だ。実際の来店者数と広告出稿データの相関を学習させ、来店者数を予測する深層学習技術の実用化なども進んでいる。では、広告の制作はどうか。
この記事は有料会員限定です
残り 605文字
