大阪でのG20 (20カ国・地域)首脳会合は、米中の首脳が久しぶりに顔を合わせる機会を提供した。ただ、米国が3000億ドル相当の中国製品に追加関税を課す「第4弾」の対中制裁はいつ発動されてもおかしくない。両国の関係は雪解けとは程遠い。中でも見過ごされがちなのは中国の「空気」の変化だ。
中国共産党機関紙・人民日報は2000億ドル相当の第3弾制裁が実行された5月10日からしばらく沈黙した後、5月14日から同22日まで米国批判の論説を9回にわたり掲載した。主題は知的財産の窃取や技術移転の強制など具体的な論点から、文明の衝突論への批判などといった大テーマまで幅広い。
署名は「鐘声」とある。これは中国語で発音が同じ「中声」の読み替えで、意味するところは「中国の声」、あるいは「中央の声」。この署名による論説は、国際問題に対する共産党中央のスタンスの表明だと受け止められている。
ここで話は1960年代にさかのぼる。中ソ対立が激化していた63年から、中国共産党は9回にわたりソビエト共産党批判の論説を発表した。この、通称「九評」の狙いは、ソ連と全面対決する姿勢を内外に示すことにあった。
今回の人民日報の連載はそれを再現した「新九評」とされ、中国国内では指導部が米国に徹底抗戦することを決めたシグナルだと受け止められた。気分はもう戦争だ。
「米国恐怖症」を猛批判
米国の狙いは一党独裁体制への攻撃にあると見定めた共産党は、国論の統一を急ぐ。人民日報は6月11日の論説で「ごく少数ながら軽蔑すべき『米国恐怖症』『米国崇拝症』がいる」として米国との妥協を探る人々を批判。ほかの官製メディアも「媚米派」「投降派」とののしる記事を掲載している。
これは単なるナショナリズムの高揚ではなく、経済政策の路線闘争に決着がついたことの結果とみるべきだろう。敗れたのは、米国が求めるような市場原理に基づく構造改革を主導してきた人々だ。
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