民放キー局グループが、放送事業の外に活路を見いだしている。
日本テレビホールディングス(HD)は累計483億円を投じて映像制作大手を完全子会社化し、テレビ朝日HDは約580億円をかけた複合型エンターテインメント施設を東京・有明に開業した。TBSHDは300億円の投資枠を新設。フジ・メディアHDでは『踊る大捜査線』の本編が14年ぶりに映画で復活し、テレビ東京HDではすでにアニメ・配信部門の営業利益が放送部門を上回っている。
アニメやキャラクターなどのIP(知的財産)は、配信やゲーム、映画、イベント、物販へと展開され、国境を越えて長く収益を生む。コンテンツの経営上の位置づけは、「放送するもの」から「育てて稼ぐ資産」へと変わりつつある。本特集「キー局IP大潮流」では、この地殻変動を3回にわたってリポートする。
第2回は、大型IPを資本で取り込む日本テレビHDと、放送を増幅装置にIPを広げるフジ・メディアHDだ。
強いIPをどう成長の武器にするか。第2弾で取り上げる日本テレビホールディングス(HD)とフジ・メディア・ホールディングス(HD)の動きは対照的だ。大型IPや制作基盤を資本で外から取り込む日本テレビと、『踊る大捜査線』やSNSで生まれた『ちいかわ』について、放送を増幅装置にして育て、広げるフジ。まずは日本テレビから見ていく。
巨大IPを資本と系列で支える日テレ
日本テレビHDのIP戦略に欠かせないのが、2023年10月に子会社化(出資比率42.3%)したスタジオジブリだ。
スタジオジブリは『もののけ姫』『ハウルの動く城』などを手がけた、日本を代表するアニメ制作スタジオだ。01年公開の『千と千尋の神隠し』は興行収入317億円で、407億円の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20年公開)に抜かれるまで国内歴代1位だった(興行通信社調べ)。
「当時の宮崎駿監督(現名誉会長)と故・氏家斉一郎日本テレビ会長との信頼関係がものをいった」と日本テレビ幹部は振り返る。ジブリの前身であるトップクラフトが制作した『風の谷のナウシカ』を、日本テレビが初めて放送したのは1985年。他局が夜19時の子供向けの枠を提案する中、日本テレビだけが夜21時からの枠で映画として扱うというのが決め手になった。
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