6月、世界の長期金利(10年物国債利回り)がそろって急落した。米国の長期金利は2%割れ。すでにマイナスの領域にあるスイス、ドイツ、日本はさらに低下し、オランダやスウェーデンも新たにマイナス圏に突入した。
なお財政が脆弱で、欧州債務危機時には長期金利が7.0%を超えていたイタリアでさえ2.0%台、救済を受けたギリシャでも2.4%という驚くべき低さだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「金利が消失した異常な時代として金融史に残るのではないか」と語る。
異常な金利低下は、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げモードから利下げ方向へ転換する姿勢を打ち出したことがきっかけだ。6月19日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文からは「政策調整(=利上げ)に忍耐強く」という文言が削られ、「景気拡大を支えるために適切に行動する」という一文が加わった。
米国の景気は足元ではしっかりしているが、トランプ政権の対中貿易摩擦による世界経済の下振れリスクやイランとの核開発をめぐる対立などの地政学リスクに対する市場の反応を抑える狙いが、FRBにはあるだろう。
FRBの1回の利下げ幅が0.25%ポイントとすると、先物市場はすでに年内3回の利下げを織り込んでいる。NYダウは6月21日には年初来高値を更新してしまった。
このように市場が利下げ期待を募らせると、パウエルFRB議長も引くに引けない。緩和カードを温存したいところだが、2020年の再選を目指すトランプ大統領からの緩和を促す圧力も続こう。
そしてFRBの政策転換には日本銀行やECB(欧州中央銀行)も付き合わざるをえない。緩和に追随しなければ、円高やユーロ高を招くとして、政権サイドから非難を浴びることは明らかだ。
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