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英国のEU離脱とシティーのリスク 金融セクターへの影響は無視できない

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  • 中空 麻奈 かんぽ生命保険 エグゼクティブ・フェロー
なかぞら・まな●1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

英国国民は2016年6月の国民投票でブレグジット(EU〈欧州連合〉離脱)を選んだ。それから約2年半後の今年3月29日がブレグジットの期限だったが、EUとの離脱協定案が英国下院で可決できなかった。結論の先送りが続いたが、4月10日のEU臨時首脳会議では10月31日までの再延期が決まった。

しかし、通貨ポンドや英国のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、債務不履行をカバーする保険の保険料)がそれほど値動きしているわけではない。「いずれ何らかの合意はするであろう」という考え方に慣れてしまい、金融市場は本来気にすべきリスクを無視しているのではないか。「合意なきブレグジット」になればとりわけリスクが高まる金融セクターへの影響について考えたい。

主なリスクだけでも3つある。

第1にパスポート制度の問題である。同制度は、EU加盟国のいずれかで営業免許を受けた金融機関は域内のどこでも営業できるというものだ。英政府は18年7月、パスポート制度の維持を断念することを明らかにした。しかし同時に、英国に進出している企業に影響が出ないよう、一時的認可制度(TPR)の導入を決定し、向こう3年間の猶予を与えた。

また、19年3月の土壇場になって、EBA(欧州銀行監督機構)は英国の金融機関がEU域内に持つ預金を保護できるよう、EU加盟国当局に要請した。

グローバルに活動する金融機関はロンドンからフランクフルトやパリなどへの拠点シフト戦略を練っており、当初、移動は数万人規模と予測された。しかし、19年4月にシティーから大陸欧州に移された人員は1500人弱にとどまっているとのことだ。これは、ブレグジットによって業務に断崖が生じないよう、英・EUの当局が相互に工夫すると期待されるためであろう。それでも二重のコストが生じるので、収益圧迫懸念が残る。

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