金融の不均衡が最も蓄積しやすく、金融市場全体の動揺をいち早く予知するための指標となるものは何か。従来は、投機的格付けのハイイールド社債(ジャンク債)がそうした指標とされていた。しかし、今では、投資適格最低ランクのBBB格社債が注目されている。背景にあるのは、社債市場で進んだ構造変化だ。
ハイイールド社債の中でもシングルB、Cなど最低水準の格付けの発行は減少する一方、信用力は低いがぎりぎり投資適格であるBBB格社債の発行が、大きく増えているのだ。企業は自社の社債が投機的格付けに落ちない範囲を慎重に計算して、借り入れを行う。投機的とされれば、借り入れコストが上昇してしまうからだ。
欧州ではとくにこうした傾向が顕著だ。ECB(欧州中央銀行)が、社債の買い入れ対象を投資適格に限定したためだ。投資適格と投機的格付けとの間で金利水準の乖離が拡大し、企業が投資適格社債を発行する動機を著しく強めたのである。
BIS(国際決済銀行)のデータによれば、2000年の時点で、社債全体の中でBBB格の占める比率は米国では30%、ユーロ圏では21%であった。ところが、18年には米国で34%、ユーロ圏ではさらに高い48%にまで達している。
社債市場でBBB格の構成比が急速に高まった背景には、需要側の事情もある。投資適格を投資対象とすることを義務づけられている運用担当者が、その中で可能な限り運用利回りの高いBBB格に投資を集中させているため、BBB格の発行コストが下がるのだ。
投資信託においても、BBB格を含む投資適格社債に投資するものの構成比は、米国では10年第1四半期の18.1%から、18年第4四半期には44.3%まで高まった。欧州でも同時期に15.5%から46.7%へと急上昇している。
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