このところ海外の投資家から筆者に、日本銀行による追加緩和の可能性はあるのか、あるとすればどのような手段になるのか、またその場合の市場へのインパクトをどう考えるか、といった質問が増えている。世界景気に加え、日本景気の指標も弱く、インフレ率の上がる見通しも立たないことが、追加緩和への思惑を強めているものと思われる。
また、通常国会で黒田東彦日銀総裁が質問を受ける機会が多くなり、日銀からの金融政策に関する情報発信が増えたことも、市場参加者の目を日銀の追加緩和に向かせているのだろう。
日銀による金融緩和の追加の手段としては、イールドカーブを引き下げる、金融機関向け資金供給の金利をマイナスにする、フォワードガイダンスの強化により金融緩和が続く見通しを示す、ETF(上場投資信託)の購入額を増額するなどいくつかの選択肢があると考えている。
しかし、日本経済の現状程度の減速では日銀は追加緩和を行わないとみている。世界経済の先行き不透明さ、10月の消費増税などがある中、日銀は追加緩和手段を温存しておきたいと考えるだろう。
もっとも、経済状況がさらに大幅に悪化し、日銀の追加緩和が行われるような事態となったときには、すでに大幅なドル安円高が進み、1ドル=100円を下回る円高水準で推移していると想定される。
日銀がイールドカーブ引き下げのために、短期政策金利のマイナス幅をさらに拡大させたら、2016年1月のマイナス金利政策導入決定時と同様に金利差は縮小し、円高の動きが加速するだろう。つまり、金融緩和が結果的に逆効果となってしまうリスクがある。そもそもゼロ%近辺にあって変動幅に限界のある日本の金利を動かすことにより日米金利差を拡大させて円安を狙うのは、無理がある。
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