最近、ある信用金庫のトップと雑談する機会があった。そのとき高齢化の進む日本の地方では、銀行から預金を引き揚げて現金で家に置く、いわゆる「タンス預金」が増えているという話になった。マイナンバーの普及や低金利の長期化、そして相続税対策といった理由からだという。
「それがオレオレ詐欺のグループに狙われるんですよ」と聞いた。
昨今世間を騒がせている「アポ電詐欺」事件の報道に接するにつけ、「なぜそんなに現金が自宅にあるのか」と不思議だったが、ようやく得心がいった。
「タンス預金」が消えた
ところで「タンス預金」といえば、中国の専売特許といった印象があった。中国では預金金利が物価上昇率を下回ることが少なくないため、現金を手元に置く人が多い。それを狙った押し込み強盗なども横行していた。
昨年末、中国の友人との食事の席で最近の犯罪の話題となった。そのとき友人は「スマートフォン決済が普及して、中国ではいま強盗がほとんどなくなったよ」と話していた。
友人は「大変なのは、すりやコソ泥、空き巣も同じだ。空き巣なんて、高級時計や金塊でもあればいいけど、そうでなければパソコンや場合によっては大型テレビを盗るしかないんだから。とにかく大仕事になっちゃった」と笑った。
首尾よく物を持ち出せても、大きなテレビを担いで歩けば、防犯カメラ網に引っかかる。捕まるリスクは限りなく高まったというわけである。
現金の消えてゆく中国は、犯罪者にとって、まさに冬の時代ということだ。といっても彼らが表の世界だけで満足な金を手にできるはずもない。新たなカモを求めて、犯罪者たちが向かったのは詐欺であった。そして、そのターゲットになったのは、警戒心と知識の乏しい老人と若者である。
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