中国の国会に当たる全人代(全国人民代表大会)が3月5日から15日まで北京で開催された。注目の李克強首相の政府活動報告では、減税など財政を通じた景気刺激策へのコミットメントの姿勢が目立った。日本でも、そこに焦点を当てた報道が多い。
しかし、より注目すべきは、6〜6.5%という実質経済成長率(2018年実績は6.6%)とともに、19年中に対前年比3%前後の伸びという消費者物価指数(CPI)の目標が示されたこと、そして、都市部の新規就業者数として1100万人以上を目指すことだ。この2つは昨年の政府活動報告でも目標として掲げられたが、成長率が落ちている現状でも同じ数字を踏襲したことに意味がある。
財政・金融の連動容認
まずCPIについては、19年1月の数値が対前年比1.7%の伸びであったことを考えれば、3%前後という目標は、かなり大胆な金融緩和も辞さない姿勢を明確にしたものと考えられる。
筆者は19年2月16日号の本コラムで、国債を中国人民銀行が大量に買い入れるなど、財政と金融の連携を通じた景気刺激策の実施を主張する声が識者や政府関係者の間で高まっていることを紹介した。今回の政府活動報告では、このような財政と金融の連動への直接の言及はないものの、実質的にその方針を容認したのに等しい内容となっている。国債や地方債の発行枠積み増しは、副作用として中国経済が抱えている過剰債務問題の深刻化というリスクを増大させる。そして、市場に債務リスクへの懸念が広がれば国債や地方債の利回りが上昇しかねない。しかし、同時に金融緩和によって前年比数%程度のインフレ率が実現されていれば、実質金利の上昇を抑えることができるだけでなく、政府・民間の実質債務残高の対GDP(国内総生産)比はむしろ低下していくことが期待されるからだ。
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