2月上旬、日本では四半期決算の発表に当たって業績予想を下方修正する企業が相次いだ。原因の多くは中国経済の減速で、その背景には激化する米中貿易摩擦があると説明された。
それまで米中摩擦について、日本では高みの見物といった雰囲気が強かったが、やはり対岸の火事では済まなかった。この現実を、中国ビジネスとは無縁の日本人も知るようになったのはいいことだ。
しかし、中国経済の「危機」をあまりに強調した報道には違和感を禁じえない。その違和感がどこから来るのかを考えてみたい。
日本では、対米輸出の縮小による廃業が目立つ広東省の工業地帯を取材して、中国経済の先行きの不安の深まりをリポートするニュース番組をよく見かける。こんなに大変な状況だ、というわけだ。
「一寸先は闇」が当然
米中対立で最もダメージを受けたのが広東省であること、また輸出に頼っていた中小企業が最大の被害者であることは間違いではない。だが、そこには中国の経営者のメンタリティーへの理解が欠落している。
そもそも中国の経営者たちの頭には「恒久的」という発想はない。むしろ一寸先は闇で、リスクに備えるのはもちろん、たとえ自分のビジネスがうまくいっていても「最も儲かる仕事は何か」につねにアンテナを張り、飛びつく習性を持っている。
広東省で会社を営む筆者の知人たちは、すでに昨年夏の時点で対米輸出に見切りをつけ、工場を畳んでいた。そして、投資対象をインドネシアやカザフスタンの不動産に切り替えていた。
つまり、日本人が言う「大変だ」という状況認識と中国人のそれとは、言葉は同じでも内容が大きく違い、その後の行動も異なるのだ。1つのビジネスモデルを大切にする日本人と、あっさりと捨てる中国人という違いもさることながら、そもそも自分の力以外、何も信用しないのが中国人だ。
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