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中国の社会経済を調べるにあたって最も困るのは、統計数値の不備である。これは現状でも歴史でも、どうやらほとんど選ぶところはない。
計量分析こそ科学研究の一般的な方法である。理系・文系を問わない。理系はいわずもがな、文系でも社会科学、とりわけ経済に対する調査手法は、そうであろう。これも中国に限らず、どこの世界も変わらない。
日本史などは、精度の問題は残るにしても、そんな計量的な経済分析が奈良時代あたりからできるということで、とても「うらやましい」。日本経済史は実際、世界最高水準の研究成果を誇っている。小欄第65回でも取り上げた研究書をはじめ、隣接分野にも役立つことが少なくない。
相次ぐ統計公表の中止
日本ほど古来、統計の備わった国は世界でも希少である。そんなデータ残存のあり方は、日本列島が経てきた歴史的な所産にほかならない。
それに対して、中国の統計が信用できないというのは、小欄第30回ですでに論じたところである。やはり今にはじまった話ではない。日本に統計が備わっているのと同じく、中国の不備不正も、歴史的構造的な問題なのであろう。
改竄(かいざん)・捏造ばかりではない。昨年末の報道によれば、経済統計の公表をとりやめた事例があいついでいる。それまで公にしてきたことに鑑みれば、データがないはずはない。それを突如として見せなくなるというのだから、体のよい隠蔽である。
たとえば、中国税関総署が毎月発表していた輸出先行指数は、同年4月を最後に公表が止まっている。原油や車など主要商品の貿易統計も、国・地域別の輸出入が同年4月から公になっていない。また欧米向け輸出企業が集まる広東省の製造業の購買担当者景気指数。昨年の11月から、毎月の公表がストップした。いずれも「米中貿易戦争」の影響で、不調に転じたものである。要は当局者に不都合な数字が出るのを避ける思惑があるらしい。
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