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本誌・昨年4月28日・5月5日合併号の「中国動態」欄は、「鄧小平への挑戦」という興味深い記事。旧知の富坂聰氏が執筆していた。
氏はいつも、中国の現況を懇切に教えてくれる。くだんの記事は「鄧小平を超え」ようとする習近平の政治姿勢の解説であった。とてつもないもくろみで、わずか数年でできるものではない。それなら昨年3月に習近平が国家主席の任期制限を撤廃した理由にも、納得がいった次第である。
鄧小平は社会主義を捨てたか
ただ歴史屋の愚見が、多少ないわけでもない。例によって明快な氏の文章で、ややわかりにくいと感じたのは、「社会主義」にまつわるくだりである。いずれも現地の方々に対する取材の引用なので、曖昧なのは氏というより、中国人の発言・思考のほうなのかもしれない。ともあれいわゆる「社会主義」の概念は、日本人一般には縁遠くなっただけに、いよいよ理解しづらいものではあろう。
中国現地のメディア関係者の話として、「鄧小平の捨てた社会主義」とあって、おや、と思った。鄧小平が社会主義を捨てたことがあったか、疑問だからである。よく読んでみると、「捨てた」のは、計画経済のことであって、「社会主義を復権させ」ようというのも、市場経済に代わる計画経済の復活を指すらしい。
もちろん社会主義=計画経済という立場なら、「捨てた」とする表現も成り立つだろう。しかし鄧小平が推し進めたのは、「社会主義市場経済」なのだから、社会主義を捨て去ったわけではない。むしろ市場経済を通じて社会主義を維持しようとした体制であり、その社会主義とは、中国共産党の一党支配だった。
そもそも共産党の社会主義国家には、二つの側面がある。政治の一党独裁と経済の計画統制である。中国で両者を不可分としたのが毛沢東、後者を切り離して改革し市場化したのが鄧小平だった。そしていま、その市場経済のほうにメスを入れようとしているのが習近平、という構図なのだろう。
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