バイロン・シャープの著書『ブランディングの科学』は、伝統的なマーケティング理論に異を唱えた。「伝統的な理論」とはどのようなものなのだろうか。批判の矛先が向けられているブランディング理論の歴史を概観していく。
まずブランドの起源となったのは産地だろう。田中洋の『ブランド戦略論』によると、ローマ時代の学者・政治家・軍人であるプリニウス(大プリニウスと呼ばれる)の『博物誌』には、「ファレルヌム」と呼ばれるワインの産地ブランドについて記述があるという。その後、「産地ブランド」はたばこやコーヒーなど嗜好品に普及する。
日本で企業ブランドが本格的に登場するのは、江戸時代だ。ブランドは屋号という形で世間に浸透していく。呉服屋の三井や大丸、和菓子の虎屋など、屋号が商品の品質やサービスを保証する記号となる、今日のブランドの原型が見られるようになる。
18〜19世紀の産業革命を経て、流通と梱包の技術が大きく発展すると、世界各地でブランドが一気に誕生する。梱包された商品は、見た目で良しあしがわかる魚や野菜と違って、開けて使ってみるまで品質を確かめることができない。ブランドによる品質保証が大きく物を言うようになったのはこのためだ。
時期を同じくして、英国を皮切りに世界各地で商標制度が整備されたことも、今日的なブランドの発展に拍車をかけた。
20世紀に入ると、世界恐慌はそれまでのビジネスのあり方をリセットした。そして、そこから抜け出そうとする人々の試行錯誤がイノベーションを生んだ。ブランドマネジメントという考え方もその1つだ。
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