激変の時代を生き抜く次の一手として、にわかに着目されているのが「サブスクリプションビジネス」(サブスク)だ。ここ数年、米国で過熱していたこの事業モデルは、周回遅れで日本にやってきた。サブスクとは、顧客ニーズがモノの所有から利用へと移行しつつある中、雑誌の定期購読のように毎月、一定の商品が手元に届く「体験」や「権利」を購入するビジネスモデルだ。
すでにカーシェアや自転車シェアのほか、一般消費財にまで広がりつつある。若い女性は今や高級バッグを所有しようと思わない。月額数千円でさまざまなブランドバッグを借り換え、着こなす写真をSNS(交流サイト)にアップする。狭い自宅にバッグを保管する必要もない。
業種を問わず「モノを売る」マーケティングの時代は終わりつつある。新しい商品を製造、販売し顧客の手元に届けることだけがマーケティングのゴールではなくなった。モノを介してほかでは経験できない時間という情緒的な付加価値を届けてくれる企業に対し、顧客はそれに見合うプライスを払う。その顧客が満足し続ければ契約は継続する。将来を見通した安定的な収益を確保し、それを元手に事業を進化させていくこの事業モデルに転換したい、と考える経営者も少なくないのではないか。
昭和の豆腐売りが原型
一方で、サブスクの普及を機に改めて問われているのは、企業と顧客の関係性だ。サブスクの成長にはチャーンレート(解約率)、いわゆる顧客定着率が、重要なKPI(重要業績評価指数)になるが、そこには商品性以外のパーソナライズされた「なじみの関係」の有無が大きく影響する。実際にサブスクを展開している経営者からは、SNSでの個別対応や商品開発などに関する質問の投げかけなどが大きく寄与することが語られている。一度CMを打ちそれが当たれば当座は安泰という短期的効率重視のマーケティングの考え方は大きく変えざるをえない。
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