昨年10月のハロウィーン。渋谷でバカ騒ぎをした若者が軽トラックを横転させた。その後、わずか2週間で事件に関わった15人が特定され、1カ月余りして、そのうち4人が逮捕された。
警視庁は、4万人もの群衆からどうやって犯人を特定したのか。街中の250台の防犯カメラに加えて、現場をスマホで撮影した映像を情報提供してもらったという。連想されるのは、AI(人工知能)を使った顔認証技術での照合だ。
ただ、身元を特定するには、別の情報が必要であるように思える。逮捕者4人は互いに面識がなく、それぞれの住所は東京都世田谷区、目黒区、神奈川県川崎市、山梨県富士吉田市。駅や自宅近くの防犯カメラの情報が別にあったのだろうか。私たちが知らない巨大な情報網があって、個人情報が蓄積されている可能性を暗示させる。
私たちが知らないデータベースの問題は、自分の知らないところに負の記録が残ることである。例えば、軽トラック横転に関与した4人の未成年者が、若気の至りで暴れたことを後悔していたとしよう。彼らが成人しても、データベースには過去の問題行動の履歴が残ってしまう。失敗の記録は、一生消えないのだ。昔の経営者、学者、政治家には、若い頃に学生運動で暴れた人たちが大勢いたが、そのことは忘れられている。現代の私たちは、勝手に収集された情報を消す権利を持ち合わせていない。
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