グーグル日本法人元社長、村上憲郎氏がIT産業とイノベーションの平成史を振り返る。
日本のコンピューター産業の発展が、出遅れたとは思わない。メインフレーム(大型汎用コンピューター)では米国に完勝した。
いわゆる「第4世代」のコンピューターで勝ったのだから、次も、ということで当時の通商産業省(現・経済産業省)が立ち上げたのが「第5世代コンピュータープロジェクト」だ。その中心となった電総研(現・産業技術総合研究所)や武蔵野通研(現・NTT武蔵野研究開発センタ)は、次世代コンピューターが人工知能(AI)マシンになることを見越していた。
80年代、DECの日本法人に勤めていた私は、電総研や通研、それに慶応義塾大学の相磯秀夫教授の研究室などにマシンを売っていた。米国留学を経験していた先生方は、現地と同様の環境を整えて、AIの研究を進めていた。
当時はAIの世界が停滞気味だったこともあり、「日本が国家予算で研究を盛り上げてくれるのなら」と、米国のカーネギーメロン大学やマサチューセッツ工科大学の先生たちは、磁気テープに入った最新のソフトウェアを快く提供してくれた。
そんな流れもあり、私はDECの米国本社に招かれてボストン郊外の人工知能技術センターに5年ほど勤めた。コンピューターサイエンスの先端部分にAI分野があるというのは、今も昔も変わっていない。
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