平成はグローバル化が著しく進展した時期だった。米国は巨額の貿易赤字で流出したドルを金融商品の輸出で回収するため、グローバル化を強力に推進した。そして国も企業も構造改革の大合唱に振り回された。日本企業は、本格的に海外に進出し、グローバル経営の難しさに直面した。文化も言語も異なる外国企業の経営者との本音の対話は、想像以上に厳しいものだった。
自由貿易にはメリットもあるが、各国産業の栄枯盛衰は激しくなった。輸出競争力を持った産業はグローバル市場で成長したが、そうでない産業は急激に衰退していく。グローバルに活躍できるエリートは所得機会が増えるが、ローカルな労働者は激しい競争にさらされ、疲弊していく。この分配の議論をしないまま自由貿易を推進すれば、摩擦が生じるのは当然だ。
英国のEU(欧州連合)離脱、欧州での極右政党の台頭、米国トランプ政権の誕生。これらの現象の背景にはすべて、分配の問題が絡んでいる。すなわち、自由貿易で効率化は進んでも分配問題は解決できないというジレンマだ。
もっとも、グローバル化の流れそのものを反転させることは不可能だ。そもそも高度文明世界はグローバル化の進展によって実現したものだからだ。大昔、各地に分散し孤立していたコミュニティは、宗教、言葉、貨幣などの発明により、徐々に統合され、その結果、人類は巨大な力を手にした。
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